完璧じゃなくていい。子どもたちと一緒に前へ
教育

完璧じゃなくていい。子どもたちと一緒に前へ

石黒

少年野球の現場に立つと、さまざまな立場の大人や家族が子どもたちを支えていることを実感します。監督やコーチとしてチームを指導する人、グラウンドの外から声援を送る家族、運営を支えるスタッフなど、多くの人がそれぞれの役割を持ちながら子どもたちを見守っています。そして、ときには「指導者」と「家族」という二つの立場を同時に持つこともあります。私自身もコーチとしてチームに関わりながら、弟を見守る兄としてグラウンドに立つことがあります。

コーチとしてグラウンドに立つと、どうしても「チーム全体」を見る視点になります。試合の流れ、選手一人ひとりの調子、練習の質、チームとしての成長など、考えることは多くあります。どのタイミングで選手を起用するか、どんな声かけがチームにとってプラスになるのか、どうすれば選手たちが次のステップに進めるのか。勝敗だけでなく、その過程で選手たちが何を学ぶかということも大切にしながらチームづくりを考えていく必要があります。そうした視点でグラウンドに立つと、自然と視野は広くなり、チーム全体のバランスを意識するようになります。

しかし一方で、家族としてグラウンドを見るときの視点は少し変わります。やはり自分の弟の姿に目がいってしまうものです。打席に立ったとき、守備についたとき、ボールを追いかける姿を見たとき、「うまくプレーできるだろうか」「ミスをしないだろうか」と気になってしまいます。ヒットを打てば思わず嬉しくなり、エラーをすれば悔しさを感じる。これは兄として自然な感情なのだと思います。

この二つの視点を同時に持つと、ときに葛藤を感じることもあります。コーチとしてはチーム全体のバランスや選手の成長段階を考えなければなりません。しかし兄としては、「もっと活躍する姿を見たい」「頑張っているのだから結果につながってほしい」と思う気持ちもあります。チームの状況や方針を理解しているつもりでも、身近な存在だからこそ感じる思いがあるのも事実です。

ただ、そうした立場を経験して感じるのは、少年野球の現場には多くの人の思いが集まっているということです。グラウンドでプレーしている子どもたちはもちろんですが、その周りで支えている家族や指導者も、それぞれの立場から子どもたちの成長を願っています。だからこそ、チームという場所は、単に勝敗を競う場ではなく、子どもたちが多くのことを学びながら成長していく大切な場所なのだと思います。

少年野球において本当に大切なことは、子どもたちが野球というスポーツを通して成長していくことではないでしょうか。試合で活躍することや勝つことはもちろん嬉しいことですが、それだけがすべてではありません。仲間と声を掛け合うこと、ミスをしても次のプレーに挑戦すること、悔しさをバネにして努力を続けること。そうした経験の積み重ねが、子どもたちの大きな成長につながっていきます。

また、子どもたちの姿を近くで見ていると、大人のほうが教えられることも多くあります。思うように結果が出ないときでも、仲間と励まし合いながら前を向こうとする姿。失敗しても諦めずに挑戦し続ける姿。そうした姿は、私たち大人にも多くの気づきを与えてくれます。弟を見守る兄として、そしてチームに関わるコーチとして、子どもたちの成長を間近で感じられることは、とても貴重な経験だと感じています。

そして、完璧な指導者である必要も、完璧な家族である必要もないのかもしれません。子どもたちが失敗を重ねながら成長していくように、私たち大人もまた、悩みながら試行錯誤を繰り返しています。ときには迷い、反省しながらも、子どもたちと一緒に少しずつ前に進んでいく。その時間こそが、少年野球の大きな価値なのだと思います。

グラウンドで見せる子どもたちの真剣な表情、仲間と喜び合う笑顔、悔しさをこらえる姿。その一つひとつの瞬間が、見守る側にとってもかけがえのない時間になっています。少年野球の現場は、子どもたちだけでなく、関わる大人や家族にとっても成長と学びの場なのだと感じています。

石黒