【10年の軌跡】「野球保護者」を卒業した私から、今悩んでいるあなたへ
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【10年の軌跡】「野球保護者」を卒業した私から、今悩んでいるあなたへ

akiko

息子が小学2年生で野球を始めてから、気づけば10年以上の月日が流れました。現在、息子は県外の国立大学に通い、準硬式野球部で活動を続けています。かつての「土日は朝から晩まで野球一色」という熱狂的な日々は落ち着き、今は試合を観に行くのは年に数回です。

振り返れば、私の10年間は常に野球と共にありました。でも、実は私、息子が野球を始めることには本当は反対だったんです。

1. 「白タイツは絶対はかない!」から始まった野球への道

3歳から息子は姉と一緒にバレエに通わせていました。男性は貴重な人材ゆえ、先生はあの手この手で息子を残そうとしてくれました。発表会では姉が出番の多い弟の手を引き、舞台の指定位置まで連れて行く。そんな日々でしたが、姉が4年生で辞める際、息子も一緒に辞めさせようとすると、またもや先生の猛烈な引き止めに。その時、幼い息子が先生の前ではっきりと言い放ちました。

「白タイツは、絶対にはかない!」

この強い意志でバレエを卒業し、息子はずっとやりたかった空手を始めます。しかし、親戚が野球一家だったこともあり、義兄宅へ行けば野球の話ばかり。なんとなく予感はしていましたが、幼稚園ママからの誘いをきっかけに体験へ行くと、野球好きの旦那も息子も、当然のごとく入部を決めました。

2. 「当番」という名の高い壁と、母の覚悟

入部して待っていたのは、母たちのコミュニティと「お当番」です。息子は国立小学校に通っていたため、同学年では幼稚園時代以外の知り合いはいません。姉の学年には知り合いはいましたが、男の人にはわからない世界での悩み、気の合わないママさんとの接点……。

「息子がやりたいなら」と覚悟を決めましたが、当時の当番は、お茶や氷の準備、冬はお湯の用意とルールが山積み。引き継ぎノートには「◯◯コーチはブラック、監督は砂糖1杯」なんて好みまでびっしり。必死で覚えたものです。

でも、不思議ですね。当番があってもなくても、結局私はずっとグラウンドにいました。もし今、当番で悩んでいる方がいたら、伝えたいことがあります。「結局、あなたは土日をグラウンドで過ごすことになります。安心してください」と。それは義務ではなく、「わが子の頑張る姿を見たい」という母の純粋な願いに変わっていくからなのです。

3. 「最後にかかわれる時間」

中学では硬式のクラブチームへ進みました。当番のないチームを選びましたが、4時起き、5時起きでお弁当を作り、送迎をする日々。そんな時、当時のマネージャーがくれた言葉が今も胸に残っています。

「今が、子どもに深くかかわれる最後の野球の時間ですよ」

クラブチームは学校ではありません。挨拶やグラウンド掃除は家庭でしつけてくるもの、という考えのチームでした。お弁当の管理から監督との対話まで、野球以外の面でも息子と深く関わり続けました。当時は大変だと思っていましたが、今思えばあれこそが、親子で同じ目標に向かって走れる「ラストチャンス」だったのです。当番はありませんでしたが、最高学年になると監督やコーチの「お世話係」が始まります。ですが、結局いつもグラウンドにいるので係とも感じませんでした。

4. 観客としての高校時代、そして大学生の今

高校野球になると、保護者会はありましたが、もう「観客」です。私はグッズ担当として1年間、名前入りのタオルやうちわが入った段ボール箱を家に置くだけ。公式戦はお金を払ってチケットを買い、スタンドから見守るサポーターです。かつて、氷の準備に追われていた日々が嘘のような、贅沢な時間にかわりました。

そして今、息子は大学生。県外へ出た彼は、国立大学の準硬式野球部で、自分のペースで野球を続けています。かつての「一番熱かった時代」は終わりました。まだまだおっかけしているママ友を見ていると羨ましいな、とさえ思います。昨年私が観戦したのは公式戦が1回、練習試合が2回。あんなに反対していた私が、遠く離れた地で野球を続ける息子を誇らしく思い、たまの試合を心待ちにしている。人生、何が起こるかわからないものですね。

5. 今、悩んでいるお母さんたちへ

10年以上の月日を経て思うのは、「あの大変な時期は、人生のほんの一瞬だった」ということです。人間関係で悩んだり、朝起きるのが辛かったりすることもあるでしょう。でも、もし本当に嫌ならチームを変える選択肢だってあります。

「白タイツははかない」とはっきり言ったあの日から、息子は自分で進む道を決めてきました。中学、高校、大学と進むにつれ、親の手はどんどん離れていきます。「あんなこともあったね」と笑い合える日は、必ず来ます。今、目の前にある「子どもと一緒に戦える時間」を、どうか大切に、無理しすぎず駆け抜けてください。その先には、お金を払ってでも見たい、誇らしい息子の姿が待っていますから。

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