せっかくやるなら楽しもう!アナウンス当番② どんなアナウンスを真似したら上手になる?
こんにちは。プロ野球場内アナウンサー松本亜希子です。
前回の記事では野球ママの皆さんに野球アナウンスに取り組む際の気持ちについてお届けしました。
最初からうまくできる人なんていません。
間違えても言い直せば大丈夫。
トライアンドエラーの気持ちで取り組みながら、
少しずつ野球アナウンスの空気感に慣れていきましょう。
そして前回、
「上手だなと思う場内アナウンサーの真似をしてみてください」
というお話もしました。
今回はその「真似」について、もう少し踏み込んでお話ししていきます。
講師をしているとよくこんな質問を受けます。
「どうしたらいい声が出せますか?」
「どうしたらいいアナウンスができますか?」
講座を受けに来てくださるほど意欲のある方たちなので、そう思う気持ちはとてもよくわかります。私自身も、アナウンスを始めた頃は同じことを考えていました。
「あなたが思う”いい声”、”いいアナウンス”とはなんでしょうか?」
質問に質問で返してちょっと意地悪になってしまうのですが、私は毎回こう聞き返します。
万人受けする声というと、
・声が高すぎず低すぎない
・こもらずよく通る声
・キンキンしない
・聞きやすいテンポ・スピード
など、いろいろな条件が思い浮かぶと思います。
でも実際は、声の好みは人それぞれです。
高く通る声が好きな人、低く響く声が好きな人、とにかく元気な声が好きな人。
場内アナウンスも同じです。
正確で落ち着いた読みが好きな人もいれば、
スタジアムDJのように盛り上げる話し方が好きな人もいます。
そしてもうひとつ大事なのが、声の性質は人それぞれ違うということ。
地声が高い人が無理に低い声を出したり、地声が低い人が無理に高い声を出したりすると、聞きづらくなるだけでなく、喉を痛めてしまうこともあります。
特に試合を通してアナウンスをする場合、無理な声を出し続けるのはとても大変です。
だからまずは
・自分の声は高め?低め?
・無理せず出せる声はどのあたり?
なんとなくわかっておくと、「どんな人を真似したらうまくいくか」のヒントになります。
「そこまで考えて質問してないよ!」
と言われてしまいそうなのですが、聞かれればここまでお話したくなってしまうのです。
それは、一試合通して無理なく声を出してほしいからです。
ここで、ぜひ心に留めておいてほしいのが「伝える」という視点です。
どんな声でも「伝える」ということをベースに話すことが大切です。
聞き心地の良い声で淡々と話すよりも、「この選手の名前を全力で呼ぶ!」
そんな気持ちや慣れないながらも一生懸命読むアナウンスの方が自分が思っている以上に人には届きます。
例として、高校野球のマネージャーさん向けの
アナウンス講習会で、こんな場面を見かけることがあります。
大会で何度もアナウンスを経験している人より、普段ほとんどアナウンスをしていない人のほうが「聞きやすい」と感じることがあるのです。
それは自分が話しやすい独特の間や抑揚がなく、ストレートに読んでいるからかもしれません。慣れていないからこそ一生懸命読んでいるのが伝わるのかもしれません。
もちろん、経験値の高い人のアナウンスが悪いというわけではありません。
交代の言い回しなど、技術的に高い方が多いのも事実です。
ただ、よくあるのが
学校ごとにアナウンスのクセが似ているケースです。
おそらく先輩のアナウンスを真似しているうちにそれが「普通」になり、代々受け継がれていく。
また、真似は人の特徴を捉える分、少しずつデフォルメされていくことが多く、気づいたら直すのが難しいほどクセが強くなってしまうことがあります。
クセが強すぎると、そのクセが気になって本来伝えたい情報が届かなくなってしまうことがあります。
それは、少しもったいないですよね。
では、どんな人をどう真似すればいいのでしょうか。
動画でも球場でもいいので、「いいな」と思うアナウンスをいくつかピックアップしてみてください。
そして
・この声、自分にも出せそうかな?
・声は違うけど、スピードがいいな
・話し方の雰囲気が好きだな
そんなポイントを見つけてみましょう。すべてを真似する必要はありません。
「いいと思った部分だけ」を真似することで、それが少しずつあなたオリジナルのアナウンスになっていきます。
チームによって話す文言に決まりがあったりするとは思いますが、スピードや抑揚は自分で調整できます。「自分が話しやすい」だけでなく、「人に伝わりやすいか」という視点で真似する相手を選ぶことも大切です。
「真似するだけなのに、そんなことまで考えなきゃいけないの!?」と思われるかもしれません。もちろん最初から全部考える必要はありません。
休憩時間にスマホを見ながら、「この人いいな」と思うアナウンスを少し聞いてみる。そのくらいの温度感で大丈夫です。
そして最後にアナウンスで一番大事にしてほしいのは、「伝える」 ということ。
変に着飾らず、いつもの自分の声で、大きく、遠くまで届ける。難しく考えずにまずはそこからやってみましょう。
当番があるなら、そしてせっかくやるなら、楽しくやってほしい。
お子さんを声で後押しできるように野球ママに向けて場内アナウンスやスコアのコツをお届けしていきます。
構えすぎずに自分も楽しむという気持ちでチャレンジしてみてください!