応援に行けない父が、見ていたもの。
私は熱血野球パパ、ではありません。
仕事や家庭の事情で練習や試合にはほとんど行けていません。
ベンチには入れませんが、家ではベンチのように座っている父親です。
次男を見て、ふと思います。
野球をしているから、よく食べるのか。
よく食べるから、野球をしているのか。
最近の我が家では、その答えが食卓のあちこちに転がっている気がします。
私は、料理が得意な父親ではありません。
学生の頃、一度だけ「肉だけカレー」を作ったことがあります。
カレー粉と、豚肉、牛肉、鶏肉のみ。
その時初めて、玉ねぎは脇役ではなかったのだと知りました。
肉だけでは試合になりませんでした。
そのあたりから、好きとできるは別なのだと薄々気づき始めました。
目玉焼きは半熟が好きなのに、なぜか毎回、半熟とはほど遠い、パンパンの黄身ができあがります。それでも、『今度は想像どおりにできるかもしれない』と、年に何回かはチャレンジしています。
そんな料理音痴の私でも、これまでに二回か三回くらいは、子どもたちに手料理を作ったことがあります。その晩は妻が飲み会で、普段なら外食になるところを、その日は私が妙にやる気を出しました。
作ったのは、味付けを市販の唐揚げ粉にすべて託した、鶏のから揚げでした。
『いっぱい食べるんだろうな』と思って、鶏肉を1パック半、合計1.5キロほど用意して、次々に油へ放り込みました。 今思えば、家庭の夕飯というより、チームにふるまうような量でした。
当然、揚げ物の経験はほとんどなく、妻に言われて少し手伝ったことがある程度です。
ただ、子どもたちに食べさせるものなので、生っぽかったら困ると思い、きっと必要以上に長く揚げていたのでしょう。先にトレーへ上げたから揚げは、食卓につく頃には少しぬるくなっていました。
案の定、かなり余りました。
その後、一人であんなにから揚げだけを食べ続けたのは、初めてでした。
ただ、から揚げという食べ物自体は、やはり強いようです。
チームの会食では、お母さんたちの手料理の中に、から揚げがあることが多いようです。やはり人気らしいです。そして、そういう日の名残は、翌日の冷蔵庫にちゃんと残っています。
会食の翌日、冷蔵庫を開けると、そこには見慣れないものが増えています。
カラフルで小さなゼリー。
昔、駄菓子屋で見たようなコーンポタージュ味のスナック。
銀色の包みに入ったカルパス。
三角の小袋に入った豆菓子。
子どものおやつと、大人の晩酌の横にありそうなものが、同じ棚に自然に混ざっています。
野球を始めてから、我が家の冷蔵庫は少しずつ、そういう場所になりました。
誰が持ち帰ったのか、いつ入れたのか、細かいことはよく分かりません。
ただ、野球の集まりがひとつ終わるたびに、家の中に少しずつ“野球の集まりの名残みたいな食べ物”が増えていく感じがあります。
きれいに整理された補食というより、現場の知恵と勢いと、ちょっとした懐かしさが混ざったような顔ぶれです。
そして次男はよく食べます。
回転寿司は20皿。
焼肉屋で最後までタッチパネルを押しているのは次男。
丼もののお店では丼を2つ並べて食べ、
ハンバーガーはLLセット+ハンバーガー+チキンをテイクアウト。
見ていると、どこまでが食事でどこからが企画なのか分からなくなります。
そんな次男の野球メシとなると、さらに気になります。
それは唐揚げなのか。
おにぎりなのか。
そんな次男の野球メシだから、野球の日にはから揚げ入りのでかいおにぎりなのかなと思っていました。でも最近になって、あれは次男の食欲だけでできているわけではないのだと知りました。手が汚れにくくて、食べやすくて、ちゃんとお腹にもたまる。ただ大きいだけではなく、ちゃんと意味のある形でした。
野球をしているから、よく食べるのか。
よく食べるから、野球をしているのか。
どちらが先なのかは、まだ分かりません。
ただ、少なくとも食べる分野では、次男はかなり有望だと思っています。
この先も、グラウンドの外で分かる成長を楽しみにしています。