野球をやっていると家族旅行が減る。それでも得られたもの
少年野球を始めてから、我が家の生活は大きく変わりました。
毎週末の練習や試合。
朝早くからのお弁当作り。
送迎や帯同。
気づけば休日の予定はほとんど野球中心です。
そんな生活の中で、少しずつ減っていったものがあります。
それは、家族旅行です。
ゴールデンウィークや夏休みになると、SNSには旅行先で楽しそうに過ごす友人家族の写真が並びます。
海やキャンプ、テーマパークや温泉旅行。
「いいなあ」と思うこともあります。
以前の我が家なら、長期休みにはどこへ行こうかと計画を立てていました。
でも今は、まず最初に確認するのが野球の予定です。
大会はあるのか。
練習試合は入っているのか。
合宿はあるのか。
旅行の計画は、その後です。
結果的に、旅行を諦めることも少なくありません。
正直なところ、最初は少し寂しさもありました。
特に下の子がいる家族では、同じような気持ちを抱えたことがある方も多いのではないでしょうか。
「本当はどこかに連れて行ってあげたい」
そんな思いが頭をよぎることもあります。
実際、我が家でも「私も〇〇に行きたい!」と言われたことがあります。
そのたびに申し訳ない気持ちになりました。
野球を選んだのは親ではなく本人です。
それでも、家族全体の生活が野球中心になるのは事実です。
だからこそ、時々「これでいいのかな」と考えることもありました。
しかし、少年野球を続ける中で、少しずつ考え方が変わってきました。
ある日、試合が終わった帰り道。
子どもがチームメイトと笑いながら話している姿を見て、ふと思ったのです。
この時間も、かけがえのない思い出なのかもしれない。
旅行は確かに特別な思い出になります。
知らない場所へ行き、美しい景色を見て、おいしいものを食べる。
家族にとって大切な時間です。
でも、少年野球で過ごす時間も、それと同じくらい特別なのではないかと思うようになりました。
仲間と勝利を喜んだ日。
悔し涙を流した日。
思うような結果が出ずに落ち込んだ日。
一つひとつの経験が、子どもを少しずつ成長させています。
そして、その成長を間近で見ることができるのは、今だけです。
大人になったとき、旅行の思い出を振り返ることもあるでしょう。
でも同じように、「あの頃、毎週野球をやっていたな」と思い出す日もきっと来るはずです。
泥だらけのユニフォーム。
早朝のグラウンド。
暑い日も寒い日も応援した週末。
そのすべてが、家族の歴史になっていくのだと思います。
もちろん、旅行に行きたい気持ちがなくなったわけではありません。
長期休みに遠出をしたいと思うこともあります。
家族でのんびり過ごしたい日もあります。
下の子にだっていろんな場所へ連れて行ってあげたいと思うことだらけです。
それはとても自然なことです。
だから私は、「野球か旅行か」と考えるのをやめました。
どちらが正しいかではなく、その時期にしかできないことを大切にする。
子どもが野球に打ち込む姿を見ていると、「連れて行ってあげられない」という後ろめたさより、「この子はこんなに夢中になれるものがある」という誇らしさの方が大きくなっていきました。
親として、それは十分すぎるほどのことだと思っています。
今は野球に夢中になれる時間を楽しむ。
旅行はまた行けるかもしれない。
でも、少年野球に全力で取り組む今の時間は、今しかありません。
そう考えるようになってから、少し気持ちが楽になりました。
最近では、試合会場までの移動時間も、小さな旅行のように感じることがあります。
遠征先で食べるお昼ごはん。
帰り道に立ち寄るコンビニ。
付き添ってくれた下の子への、ちょっと特別なお菓子やアイス。
試合後に家族で話す何気ない時間。
特別な観光地ではないし、ほんのちょっとしたところにも思い出があります。
振り返ったときに思い出すのは、豪華な旅行だけではないのかもしれません。
週末ごとに家族で同じ目標に向かって過ごした時間。
子どもの成長を一緒に見守った時間。
よく考えてみると、下の子も野球を通じていろんな経験をしています。
早起きして応援に来た達成感。
兄の勝利を自分のことのように喜ぶ姿。
知らない球場、知らない土地、知らないチームの子どもたち。
それは旅行とは違う刺激で、これはこれで豊かな時間なのだと気づきました。
それもまた、かけがえのない家族の思い出です。
少年野球をやっていると、家族旅行は確かに減ります。
それを寂しく感じる日もあります。
いつか野球を卒業したとき、「あの頃は大変だったね」と笑いながら話せる日が来るかもしれません。
そのとき、旅行の思い出と同じように、野球に夢中だった日々も、きっと大切な家族の宝物になっているはずです。