通ってるから大丈夫では伸びない理由
少年野球のグラウンドに立つと、我が子に一生懸命技術を教えているお父さん、お母さんの姿をよく見かけます。
その眼差しには「少しでも上手くなってほしい」という純粋な親心があり、私自身もその気持ちはとてもよく分かります。きっと、どのご家庭でも同じ思いではないでしょうか。
ただ、子どもの野球と真剣に向き合う中で、私自身が一つ強く意識していることがあります。
それは、技術的な指導は専門家に任せるべきだという考えです。
今の時代、高校生や大学生はもちろん、プロ野球選手でさえパーソナルコーチのもとで専門的な指導を受けています。数値データによる動作解析や最新のトレーニング理論、メカニクスなど、野球を取り巻く環境は、私たちが子どもの頃とは比べものにならないほど進化しています。
実は、私の長男も年長の頃からパーソナルコーチのもとを訪ね、専門的な指導を受けてきました。親が教えるのではなく、きちんと知識と経験を持った方に見ていただく。その方が子どもにとっても遠回りをせず成長できると考えたからです。
身体の細かな使い方ひとつとっても、専門的な知識と経験がなければ、本当に効果的な指導を行うことは難しい。これは実際に野球と向き合えば向き合うほど強く感じるところです。
もちろん、数値や理論、メカニクスは現代野球において非常に重要です。
それらを理解し取り入れることが、成長への近道になる場面も多いでしょう。
ただ、最終的に選手として壁を乗り越えていくのは、やはりやり抜く力だと私は思っています。
どれだけ素晴らしい理論を教わっても、それを自分のものにするまで信じて続けることができなければ意味がありません。反復し、失敗し、また挑戦する。その地道な積み重ねを続けられるかどうか。結局そこに、選手としての差が生まれてくるのだと思います。
「精神論」と聞くと、どうしても理論とは対極のもののように語られがちですが、私はそうは思いません。
むしろ、優れた理論を理解し、それを身体の動きとして落とし込むためには、地道な反復と継続が不可欠です。
つまり、理論を生かすのも結局は精神力なのだと思います。
一方で、最近よく感じるのは、
「スクールに通わせているから大丈夫」
「良い指導者に教えてもらっているから安心」
といった空気です。
もちろん、それ自体は素晴らしい環境です。
ただ、どんなに良い指導を受けても、それだけで子どもが勝手に伸びていくわけではありません。
環境や指導はあくまで成長のきっかけです。
実際に力を伸ばしていくのは、日々の地道な鍛錬にほかなりません。
身近なグラウンドを見ていても、その差ははっきりと現れます。
ただ通っているだけの選手と、教わったことを自分のものにするまで反復し続ける選手とでは、数年後には驚くほど大きな差が生まれています。
だからこそ私は、技術的なことは専門家に任せながらも、家庭では子どもが野球とどう向き合うかという姿勢を何より大切にしています。
そして家庭にしかできない、もっと大切な役割があるとも感じています。
それは、子どもが教わったことを最後までやり抜くための土台を支えることです。
どんなに良い指導を受けても、最後に差がつくのは、その教えを信じて継続できるかどうかです。
その「やり抜く力」を支えるのは、結局のところ家庭なのではないでしょうか。
日々の小さな積み重ね。
それを見守り、支え続けること。
それこそが、子どもを本当の意味で大きく成長させる力になる。
私はそう信じています。