勝っても負けても残るもの
私はこれまで、3人の子どもたちの野球人生を長く見守ってきました。
そして今、区切りの最後の学年を迎え、その時間の終わりが少しずつ近づいています。
先日、集大成となる中学硬式野球の大会を応援している中で、ふと思ったことがあります。
それは、「優勝と準優勝」、そして「ベンチ入りとスタンド」は、とてもよく似ているのではないかということです。
子どもたちが野球を始めた頃の私は、勝ち負けや出場機会を気にしていました。勝ったのか負けたのか。試合に出られたのか。レギュラーになれたのか。どうしても目に見える結果を追いかけていたように思います。
しかし、長く野球に関わる中で、その考え方は少しずつ変わりました。
優勝と準優勝。結果だけを見れば大きな違いがあります。優勝には歓喜があり、準優勝には悔しさがあります。
けれど、その差は決勝戦での一本のヒットや一つのエラー、ほんの一瞬の判断で変わるほど僅かなものです。
子どもたちも優勝の喜びを味わったことがあれば、あと一歩届かず涙を流したこともありました。
優勝した時の笑顔も、準優勝で流した悔し涙も、親として忘れられない大切な瞬間です。特に悔し涙の中には、仲間と積み重ねた努力や、本気で勝ちたいという思いが詰まっていました。
そしてもう一つ、私は「ベンチ入り」と「スタンド」も同じだと感じています。
試合ではグラウンドに立つ選手に注目が集まります。しかし、ベンチやスタンドにいる選手も決して脇役ではありません。
ベンチ入りとスタンドも、一見すると大きな差があるように見えます。ですが、その差もまた僅かなものです。
監督が求める役割やチームバランス、相手との相性、その日のコンディションなど、選考にはさまざまな要素が影響します。努力や能力だけで決まるものではありません。
実際にスタンドで応援していた選手が次の試合ではベンチ入りし、活躍することもあります。その逆もあります。
だからこそ、ベンチもスタンドも同じチームの一員です。それぞれの場所で仲間を支え、同じ目標に向かって戦っています。
3人の子どもたちも、試合に出続けた時期があれば、出番を待った時期もありました。スタンドから仲間を応援する悔しさも経験しました。
でも、そのすべてに意味があったと思います。
試合に出ることで責任感を学び、出られないことで努力する大切さや仲間を支える強さを学びました。
親として特に心に残っているのは、出場できない日でも仲間のために声を出し続ける姿です。悔しさを抱えながらも全力で応援する姿に、人としての成長を感じました。
野球には勝敗があります。順位もつきます。
しかし、「成長」という視点で見れば、優勝も準優勝も、ベンチ入りもスタンドも、決して大きな違いではありません。
大切なのは、どこにいるかではなく、その場所で何を考え、どう行動したかです。
いよいよ今年も夏の大会が始まります。
優勝を目指して戦う選手。ベンチで出番を待つ選手。スタンドから仲間を支える選手。
すべての球児が、この夏の主役です。
勝っても負けても、この夏に流した汗や涙、仲間と過ごした時間は、きっと一生の宝物になります。
最後まで自分を信じ、仲間を信じて、悔いのない最高の夏を過ごしてください。
頑張れ、球児たち。
君たちの青春が、最高に輝く熱い夏になることを心から願っています。