子どもたちの声を、いちばん近くで聞く
教育

子どもたちの声を、いちばん近くで聞く

石黒

学童野球の現場では、さまざまな立場の大人が子どもたちを支えています。監督やコーチとしてチームを指導する人、保護者としてグラウンドの外から見守る人など、それぞれが異なる役割を持ちながら関わっています。その中で、私のように選手たちと年齢が比較的近いコーチもいます。年齢が近いという立場は、指導するうえで難しさを感じることもありますが、同時に大きな強みにもなると感じています。

年が近いコーチの特徴は、子どもたちにとって「少し身近な存在」になりやすいことです。監督や年上の指導者には緊張してしまう子どもでも、年齢の近いコーチには気軽に話しかけてくれることがあります。練習の合間に「さっきのプレーどうでしたか」と聞いてきたり、試合に出られなかった悔しさをぽつりと話してくれたりすることもあります。そうした言葉を聞くたびに、年齢が近いからこそ築ける距離感があるのだと感じます。

また、子どもたちの気持ちを理解しやすいという点も、若いコーチの強みだと思います。練習がうまくいかないときの悔しさや、試合に出たいという思い、仲間と比べてしまう気持ちなどは、決して特別なものではありません。自分自身も野球をしてきた経験があるからこそ、「どうしてそう感じるのか」を想像しやすい部分があります。そのため、ただ指示を出すだけではなく、子どもたちの気持ちに寄り添いながら声をかけることを意識しています。

たとえば、ミスをした選手に対して「次はこうしよう」と具体的に伝えることはもちろん大切ですが、それと同時に「今のプレー、悔しかったよな」と気持ちを受け止めることも大切だと感じています。子どもたちは、自分の気持ちを理解してもらえると、次のプレーにも前向きに向き合えることが多いものです。年が近いコーチは、そうしたコミュニケーションを取りやすい立場にあるのではないかと思います。

一方で、年齢が近いからこそ気をつけなければならない点もあります。距離が近くなりすぎると、指導者としての立場が曖昧になってしまうこともあるからです。子どもたちと楽しく会話をすることは大切ですが、練習や試合の場面ではメリハリをつけることが必要です。チームとして守るべきルールや姿勢については、しっかりと伝えることもコーチの役割だと思っています。

また、若いコーチは監督や他の指導者と子どもたちの間をつなぐ存在にもなれると感じています。年齢の近いコーチが子どもたちの声を受け止め、それを指導者側に伝えることで、チーム全体のコミュニケーションが円滑になることもあります。そうした橋渡しのような役割も、年が近いコーチだからこそできる大切な仕事なのかもしれません。

学童野球の目的は、試合に勝つことだけではありません。もちろん勝つことは嬉しいことですが、それ以上に大切なのは、子どもたちが野球を通して成長していくことだと思います。仲間と協力すること、努力を続けること、失敗しても前を向くこと。そうした経験は、野球だけでなく、これからの人生にもつながっていくはずです。

年が近いコーチとしてグラウンドに立っていると、子どもたちの成長を間近で感じる瞬間がたくさんあります。最初は声が小さかった選手が大きな声で仲間を励ますようになったり、ミスをして落ち込んでいた選手が次のプレーで思い切り挑戦したりする姿を見ると、この場所に関われてよかったと感じます。

年齢が近いということは、決して特別な指導方法を意味するわけではありません。ただ、子どもたちにとって少し身近な存在として寄り添いながら、必要なときにはしっかりと導く。そのバランスを大切にすることが、若いコーチとしての役割なのだと思います。

これからも、兄のような距離感で子どもたちに寄り添いながら、コーチとして成長を支えていきたい。学童野球のグラウンドで過ごす時間は、子どもたちだけでなく、指導する側にとっても多くの学びを与えてくれる大切な時間だと感じています。

石黒