グラウンドには立てないけれど
私は熱血野球パパ、ではありません。
仕事や家庭の事情で練習や試合にはほとんど行けていません。応援は遠目、支払いは至近距離の父親です。
もし同じような立場の方が読んで、肩の力が少し抜けるきっかけになればうれしいです。
小学校に野球部がない次男が野球を始めたきっかけは、わりと偶然でした。
少し前に相撲大会にも出た次男と近くの公園で早朝キャッチボールをしていたとき、区の少年野球チームの練習に向かう親子に声をかけられました。(バット振ったら飛ばしそうですね)という空気を感じました。
クラスでも体が大きいほうで、体育のパワー系が得意らしいので、たしかにそう見えたのだと思います。本人も「やってみる」くらいの軽さでした。
私は横で会釈しながら、土日が野球になる未来を早めに察知していました。
案の定、入った瞬間に土日が野球中心になります。練習は土日がメインですが、私は仕事が入ることも多いです。
気づけば、連絡や当番、普段の付き添いは妻が担う形になりました。役割分担としては自然でも、ふと「自分はちゃんと役に立っているのだろうか」と思う日があります。
その代わりに私の出番が増えたのは、スポーツ用品店でした。気づくと「これが必要」と言われて店に寄ることが増え、会計の合計は毎回、安くもないけれど家計が壊れるほどでもない絶妙な金額です。
そんな 「何が必要?」「これ!」という、言葉のキャッチボールが増えました。投げて取る代わりに、探して買います。
買ったばかりなのに、次に見るともう小さく見えるのも不思議です。
店員さんに「野球熱心なパパだな」と思われていそうで、少し恥ずかしくて、とっととお店を出たくなります。
それでも横で嬉しそうな次男を見ると、結局我慢します。レジ前は、私のポジションになりました。
そして驚いたのが、次男がキャッチャーを任されるようになったことです。防具一式を揃える段になり、「小学生でここまで装備するのですか」とびっくりしました。
本人は鏡の前で装備を付けて得意そうに、親は値札を見て、財布の場所を確認します。
後で聞いた話ですが、本人はキャッチャーをわりと気に入っているようです。本人いわく、「だって、あんまり動かなくていいじゃん」とのことでした。
私は一瞬、「スポーツでそれが成立するのですか」と思いましたが、本人が言うのだから、本人にとってはそうなのだと思うことにしました。
おそらく、続けやすい居場所が見つかったのだと思えて、それだけで安心した記憶があります。
野球場ではなく、こういう場面で安心しているのは、私が練習試合や公式戦をほとんど見に行けていないからかもしれません。
私が実際に見たのは、たまたま(おそらく2回ほど)練習を、少し離れたところから眺めた程度です。こちらから声はかけず、向こうにも気づかれない距離でした。
それでも、普段家で聞く声とは違う、少し勇ましい返事や指示の声が聞こえてきました。その声を聞いたとき、「見ていないところでも、ちゃんと頑張っているのだな」と思い、少し安心しました。
私は昼間は会社員として働き、仕事終わりや休みの日には、動画制作など本業とは違う仕事もしています。長男も次男も何かとお金がかかる中で、自分にできるベストなポジションだと思って、何とかやっていくつもりです。
そういう姿を、寝ているはずの子どもたちもどこかで見ているようで、ときどき「お父さんも頑張ってる」と言われます。見えていない時間でも、信じて応援してくれているのだと思うと、グラウンドに立てなくても、こういう後方の応援なら続けられそうです。
見えていない時間でも、信じて応援されることを実感してきました。だから私も、見えていない時間を信じて、私の距離で次男を応援していこうと思います。