「野球、辞めたい」と言われたら、どうしますか?
「野球、辞めたい」
子どもにこう言われたら、親はどうしますか?
「ここまで続けてきたのに?」
「今辞めたらもったいないよ」
息子は小さい頃から何度も「野球を辞めたい」と言っていました。
私は父親の指導が厳しかったからだと思っていました。
小学2年生の秋から野球を始めました。
ここからが大変でした。
野球経験のない父親が、YouTubeと本を見ながら息子に野球を教える。
もちろん父親も、息子を上手くしたかったんだと思います。一生懸命だった。お金もたくさん使いました。野球経験がないのにコーチまでしていました。
でも、息子からしたら、楽しいばかりの野球ではありません。泣きながら練習するなんてしょっちゅう。
そして、何度も言いました。
「もう野球辞めたい」
そのたびに私は、
「また言ってる」
と思っていた気がします。
でも、今思えば、あれは「野球が嫌い」という意味だったんです。父の厳しい指導により野球が嫌いになってしまっていたんです。きっかけは父の厳しい指導でした。
中学生になっても、それは続きました。
厳しい練習。思うようにいかないこと。指導者との関係。後で聞くと、毎週土日が嫌で嫌で仕方なかったそうです。
「もう辞めたい」
何度聞いたことでしょう。コーチに相談しました。父の指導を辞めさせてくださいと言われ、コーチにバッセンの動画を送り指導してもらっていました。しかし、それが気に入らない旦那が動画送信をやめさせました。やっと野球が好きになりかけていた時でした。
ここでも父の指導のせいだと思っていましたが、もう野球そのものに興味がなかったんだと思います。
ところが、高校生になると、いつの間にか辞めたいを言わなくなりました。
いや。正確に言うと、言えなくなったのかもしれません。高校野球は、小学生や中学生の頃とは違います。
野球推薦という、自分で選んだチームで、自分で決めた野球です。そんなに嫌ならどうして推薦受けたの?と聞くとNOと言える環境じゃなかったと。
周りもみんな、本気で野球をしている。
「辞めたい」と言えば、簡単には済まない。そして、いつの間にか息子は、野球を続けていました。
今振り返ると、私はここをもっと早く理解してあげればよかったと思います。
「辞めたい」と「野球が嫌い」は、必ずしも同じではない。
練習が嫌なのかもしれない。指導者が嫌なのかもしれない。うまくできない自分が嫌なのかもしれない。試合に出られないことが嫌なのかもしれない。別にやりたい事ができたのかもしれない。
あるいは、ただ疲れているだけかもしれない。
だから、子どもから「辞めたい」と言われたとき、いきなり「辞めるな」と言う必要はないのだと思います。
まず、
「なんで辞めたいの?」
と聞いてみる。恐らく、子どもなりに言いにくい事がたくさんあるんだと思います。
そして、すぐに答えを出さなくてもいい。一日で気持ちが変わることもある。一週間後には、また野球をしているかもしれない。
逆に、何度聞いても同じ答えなら、本当に考えたほうがいいのかもしれません。親が守りたいのは、野球を続けることなのか。それとも、子どもの人生なのか。
ここは、かなり大事なところだと思います。野球を続けたから得られるものもあります。
でも、野球を辞めたから見つかるものもある。
「ここまでやったんだから、最後までやりなさい」
という気持ちは、親として当然です。私だってそうでした。でも、子どもの人生を考えたら、続けることだけが正解ではありません。
ただし、一時的な「嫌だ」と、本当に「辞めたい」は違います。
そこを見極めるために、親は少しだけ待ってあげる。
そして、子ども自身に考えさせる。
息子の場合、何度も「辞めたい」と言いながら、それでも野球を続けました。
そして高校生になった頃には、あれだけ嫌がっていた野球を、いつの間にか好きになっていました。やっててよかった、と言っています。
人生って、分からないものです。
だから今、子どもから
「野球、辞めたい」
と言われているお父さん、お母さん。慌てなくていいと思います。怒らなくてもいい。
「せっかくここまでやったのに」と嘆かなくてもいい。
まずは聞いてあげてください。
「何が嫌なの?」
そして、その答えを一緒に考えてあげる。野球を続けるのか、辞めるのか。最終的には、子ども自身が決めることなのかもしれません。
親にできるのは、その決断を急かさず、見守ること。
そして、もし続けることになったなら、その先でまた野球を好きになる日が来るかもしれない。
息子を見ていると、本当にそう思います。あれだけ「辞めたい」と言っていた子が、最後には野球を好きになった。
だから私は今なら言えます。
「野球、辞めたい」と言われたら、まずは「そっか」と聞いてみよう。
辞めるかどうかは、そのあと考えればいい。
子どもの「辞めたい」の奥には、まだ親には見えていない、本当の気持ちが隠れているかもしれません。
案外子どもの方が冷静に周りを見てしまっているかもしれませんよ。