学童野球の5年間
ただ、小学2年生から始めたので、そのころはまだお弁当持ちのことも少なかったです。もちろん、平日の夜練などもなし。試合もないので、親の当番もありませんでした。この頃はまだ、平日のスイミングや塾と同じような「習い事の延長」という感覚で、親の負担もそれほど大きくはありませんでした。
そして学年が上がって3年生。いよいよ公式戦が始まりました。
しかし、3年生のうちは、自分の当番の日以外は「いってらっしゃい!」と送り出せばそれで終わり。公式戦や練習試合なども年間を通してほとんどなく、たまに練習試合があっても、午前中に4回(イニング)ぐらいやって終わり、というスケジュールでした。
それにしても、3年生の野球の試合なんて、それはそれは。
ストライクが一つ入ればベンチも親も大喜び。フライを取れたら大喜び。アウト一つとれば大喜び。
秋ごろになると、何となく試合っぽくなってきました。
今思えば、本当にかわいいときです。「野球をしている息子を見ている気満々」でグラウンドに行っていましたが、実際は「野球っぽい事をみんなで楽しくしている」という感じの、微笑ましいお祭り騒ぎでした。
そして4年生。「野球っぽい」から、「ほぼ野球」になります。
子どもはもちろんのこと、保護者も本格的な当番、1日練習、試合の車出し(配車)などが始まり、土日の生活が本格的に「野球一色」になり始めます。
ここでママさんがよく心配されるのが「下の子(きょうだい)はどうしよう?」ということ。
下に兄弟のいる子は、たいていはグラウンドに連れてきていましたね。
「1日中グラウンドにいて、下の子が退屈しないかな…」と不安に思うかもしれませんが、これが意外と大丈夫なんです。同じように連れてこられた他の一緒にいる子たちと遊んでおり、大きなシートを持ってきてまとめて面倒みたり。一日かしこく過ごしていました。そこはあまり心配しなくてもいいのかな、と思います。
さあいよいよ5年生。息子は4年生の途中で地域の枠を超えたクラブチームへと移籍しました。
当時はみんな地域のスポーツ少年団(スポ少)に属するのが圧倒的だったので、クラブチームといえば、地域の学校以外に通学する子や、趣味程度の子どもの集まりという印象でした。
しかし、息子が5年生、6年生になるころには、世の中的にもクラブチームがどんどん増え始め、これまで地域でしか出られなかった大会にも、クラブチーム枠として出場できるようになってきたのです。
となると、練習にもがぜん気合が入ります。クラブチームとはいえ、土曜の練習に加え日曜日には練習試合が入ります。そうなったらもう、朝から晩まで野球、野球、野球の日々です。
そんな中、5年生のときに4チーム程度が参加する小さな大会でしたが、初めて「優勝」を経験することができました。
今でもはっきりと覚えています。最後の試合、空からは雨が降っていました。
そして、ゲームセットの瞬間、優勝!!
みんな大興奮でしたが、「落ち着いて、落ち着いて」とまずは表彰式へ。そのあと、学校の了承をきちんと得てから、子どもたちが待ちに待ったイベントが始まりました。
監督が事前にたくさん買って用意してくれていた炭酸水の出番です。プロ野球のシャンパンシャワーならぬ、子どもたちの「炭酸シャワー」!
降りしきる雨か、飛び散る炭酸水かわからないくらい、みんなでびしょ濡れになって大はしゃぎしました。
そして最後の学年、6年生。
ただ、優勝以来、息子たちのチームはなかなか勝てなくなっていきました。そして迎えた、小学生最後の試合。
その日の息子はとても調子がよく、ピッチャーの調子もばっちりで、試合は順調に勝っていました。
バッターボックスに立った息子が、目の覚めるような打球を放ちます。なんと、スリーランホームラン!ダメ押しの追加点が入り、誰もが「これで勝てる!」と確信しました。
しかし、野球の神様は最後まで分かりません。
最終回、なんと5点差をひっくり返されてしまい、大逆転負けを喫してしまったのです。嬉しさと、悔しさと、呆然とした気持ちが入り混じった、切ない幕切れでした。
小学校の6年間というのは、子どもの学生生活の中で一番長い期間です。でも、その中で我が子が「学童野球」を全力で駆け抜ける時間って、実はほんの少しの間しかありません。
現役の渦中にいるときは、我が子が野球を楽しんでいる時間よりも、親が朝早くからお弁当の準備をしたり、車出しをしたり、泥汚れと戦ったりしている時間のほうが、よっぽど長く感じるかもしれません。「あぁ、今週末もしんどいな」と思う瞬間は、誰にだってあります。
でも、どうかその時間を親子で楽しんでください。
ストライク1つに大喜びした可愛い3年生の姿も、雨の中で炭酸水を浴びて笑った5年生の顔も、最後のグラウンドで見せたホームランの軌道も、すべてが我が家の宝物です。
子どもが親に「全力で応援させてくれる時間」をくれたことに感謝しながら、まずは今週末、目の前で白球を追いかけるお子さんを、特等席からたくさん応援してあげてくださいね!